天才怪盗が拾った少女



『ティアラはどうした?』



また海から送られてきた。



『透明ケースの上に置いてきた』



そういえば、説明しねーとな。



俺は1度宝を取る。


怪盗だからな。


だが、俺らは宝に一切興味がない。


だから返す。


それに、あのとき男が言ったろ?


『乱魔にティアラを取られた』


って。


だから、盗んだように見せかけないといけなかった。


ただケースに入れたままだと盗んだって思われにくい。


だから、ケースの上。



以上が俺の行動の理由。



そしてそれ以上メッセージは送られてこなかった。



俺は少女のほうを見た。


というか、少女のカバンを見た。



やっぱ子供が持つにしてはデカイよなぁ……



……開けたい。



ちょっとだけ。


なにが入ってるかだけ……



俺はそんなことを思いながら、彼女にゆっくりと近付く。



「…………?」



なんとも運が悪いこと。


タイミング悪く、少女が目を開けた。


自分がどうしてここにいるのか、というような顔をしている。



「お嬢ちゃん、名前、言える?」



すっげーじじくさい言い方だと思う。


だけど、仕方ねーだろ。


こんなちびっ子の相手なんかしたことねーんだから。



「……?」



こいつ、聞こえねーのか?



「な、ま、え」