天才怪盗が拾った少女




俺だけに。



「はいはい、俺はやりますよ」


「正気か、一弥」



なにをそこまで驚いてるのですか、海さんは。



「だって──」


「頼む、ウサギはちっとも役に立たないんだ」



俺が言い訳をしようとすると、三崎が遮るように思わぬ発言を。


いや、なんとなくそうだろうな、とは思ってたけど、本人を目の前にして言うなよ、それ。



「しかし……」



海が戸惑うのもよくわかるよ。


俺ら、元犯罪者だもんな。


それが探偵とか、笑わせんなってことだよな。



「お前らは悪いことをしようと思って罪を犯したわけではないだろう?だとしたら、問題はない」


ちょい、三崎さん。


なんですか、その屁理屈。


おかしいだろうが。



「普段はここで喫茶店を開くんだ。それで、噂の探偵として名を広める」



おー、それは面白そうだこと。



「新田海にはハッキングを、滋には情報集めをしてもらうつもりだ。つまり、やることは前とはなんにも変わらない」



それは、彼らだけですよね、三崎さん。


俺はなにすんの?



「一弥は今までウサギがやってたことをしてもらう」



……どーいうこと?



「お前は、あたしの代わり、つまり、ラビットを名乗れ」


「はぁぁああ!?」



こうして叫ぶのも本日何度目か。



ってか、それは無理だ。


乱魔がラビットに?


そんなのありかよ。



「それ、面白いですね」



おいおい、お前の仕事がなくなるんだぞ?


そんな呑気に言ってる場合かっ!



「ウサギはここのマスターとして働いてもらう。というか、マスターかつ話を聞く人だ」