天才怪盗が拾った少女




三崎は雪兎から受け取ったカップに口をつけ、一口喉に通す。


「柏木冬馬が2人を殺した理由は借金をチャラにしてもらうため。そして、それを言ったのは凱霧の夕霧李紅だった」


へぇ…………



「えぇぇぇ!?」


「うるさいよ、一弥」


「わ、悪い……」



でも、仕方ねぇだろ。



「河西信太じゃなかったのか……?」


「あぁ、違った。初めてだよ、こんなこと」



三崎が悔しそうに拳を握る。


「河西信太は嘘をついていなかった。ウサギは『乱魔を知ってますか?』と聞いた。河西は、これを怪盗乱魔のことを聞かれたと思ったらしい」



そうか。


15年も経ってたし、あのときは『怪盗乱魔』としての名が大きかったからな。



となると、確かに『怪盗乱魔』については知らねぇよな。



「そして、当然柏木には接触していないから、柏木のことも知らない」



なんか、めちゃくちゃじゃねぇか……



「以上で謎解きタイムは終わりだ」


「「「へっ……?」」」



俺ら3人そろって拍子抜けした声。


なんか、ほとんど意味不明………


これで終わってもいいのかよ………



「さて、本題はここからだ」



……謎解きが本題じゃなかったのかよ。




「あたしたちと探偵をやらないか?」





三崎の提案に息をのんだ。



待って、一緒に探偵をやれって言った?



「ムリ!」


最初に断ったのは滋。


「俺も断る」


次に海。


「俺も……」


うん、俺に断るなんてこと、できねぇよな。


なんとなくわかってたよ。


三崎の目が『やれ』って言ってるもんな。