天才怪盗が拾った少女



「もう、落ち着きなよ、2人とも。早く中に入ろう」



……救いの手を差し伸べてくれたのか、滋。


俺、うれし…………



……違うな。



この状況がめんどくせぇだけだな、こいつ。



くそ!


どいつもこいつも……!



「さ、どうぞ」


知らぬ間に鍵を開け、ドアを開いていた雪兎。


まず最初に入ったのは三崎。


もちろん、女王様っぽく。


……なんかムカつく。




それに続くように海と滋が入る。



「一弥さん?」



あー、ホント、こいつだけ優しいよなぁ……



俺はなにも言わずに中に入る。



「全然変わってねぇ……」



内装は俺らが離れたときのまま。



「適当に座れ。ウサギ、なにか飲み物はないのか?」



マジで、あなたは何様ですかい。



「すぐ準備するよ」



それに従う雪兎もどうかと思うけど。



「さて、成瀬優弥と咲を殺した犯人が柏木冬馬、というとこまで問題ないな?」



三崎はこの中で1番綺麗な椅子に腰掛け、話し出す。



それにしても、いきなりだな、おい。



「うん」

「ない」



そう言ってうなずく2人。



「一弥、お前は?」


「え、俺も?」


「当たり前だろ。ちゃんと約束したではないか。刑務所から出てきたら教える、と」



……約束とか守るんだ、こいつ。



「問題ねーぞ」


「では、その後から、だな」