天才怪盗が拾った少女



なんとなく、三崎の顔を見ると、こいつは頬を赤く染めて微笑んでる。



…………めちゃくちゃかわいいんだけど。



え、なに、この生き物。



信じらんねぇ。


黙ってれば、ホントにただの美少女じゃん。


もったいねぇ……



「それじゃ、僕は河西信太を連行するように言ってくるね」



雪兎はそう言ってまた走って行った。


あいつも忙しいやつだな。



「一弥、お前はどうする?」


「どうするってなにが?」


「もうこの事件も解決するが、まだ自首しないのか?」



そういうことね。



どーすっかなぁ……


確かに三崎の言うとおりなんだけど……



「なるべく早く自首したほうがいいと思うぞ」


……こいつって正論しか言わねぇよな。


だから反論もできねぇし。



「結果ならお前が刑務所から出てきたときに丁寧に説明してやる」



それはありがたいことで。



だがな。


刑務所から出てまたお前には会いたくねぇんだよ。



とか、言いてぇのに、言えねぇ。


意気地無しだよな、俺って。



「どうするのか?」



もう一回聞かれる。


俺ははぁ……、と深いため息をつき、言う。



「わーった。もう自首する。そのかわり、ちゃんと教えろよ?」


「当たり前だ」


「じゃあな」



俺は三崎の頭を何度か叩き、その場を去った。