天才怪盗が拾った少女



「ウサギ」


しばらく沈黙の時が流れた後、三崎は顔をあげて雪兎を呼ぶ。


「なに?」



「河西信太を連行してこい」



………………


……………………………………



「はぁ!?」



俺は三崎の言葉を聞いて、頭がフリーズした。


そして、なんとなく理解ができたとたん、大声で叫んでしまった。




「なんでそうなるんだよ!2人とも柏木のことは知らねぇって言ってんじゃねぇか!なにを根拠にそう言いきるんだよ!」


「うるさいぞ、一弥」



三崎は両耳を塞ぎながら言う。



「そうですよ、うるさいです」



……雪兎まで便乗すんなよ。



「お前、もしかして2人の証言が真実だと思ったのか?」



……違うのか?



「はぁ……」



んなわかりやすいため息つかないでもらえるか?



「河西信太の証言は大嘘だ」


「!?」


「夕霧李紅は本当のことを言ってるみたいだがな」



いやいや、信じられるかよ、そんなこと。


俺は根拠を示せって言ったんだよ。



それ、なんの根拠にもなってねぇじゃん。



「……一弥。お前はあたしの言うことが信じられないのか?容疑者や犯人たちの言うことはあっさりと信じているというのに」



それは……



「差別するなよ」



………バレてたか。



「悪かったよ。確かに、差別だ。大人の言うことを信じて、ガキの言うことは信じてなかった」


「では、あたしの言うことを信じるのだな?」



いや、そうは言ってない。


……と言いたいが、言ってはいけないんだろうな、この空気。


ホント、やなガキ。



「あぁ、信じるよ」


ため息混じりにそう言った。