天才怪盗が拾った少女



「いるわ!実際、海と滋がそうだし!」


「お前の思い込み、ということもありえるであろう?」



やめてくれねぇかなぁ、そういうこと!


マジでシャレになんねぇんだっての!



「くくっ……お前はからかいがいがあるなぁ……」



三崎は笑いながら言った。


ホント、ムカつくわぁ……!



「いやぁ、久々にウサギ以外の人間の前で笑ったな」



は?


俺、お前の笑顔何回か……




ううん、あれはカウントできないな。


あのバカにするような笑み。


……あれが笑顔とか、ぜってぇ認めねぇからな。




「ちぃちゃん!」



ペットボトルの水を飲み終えるころになって、やっと雪兎が戻ってきた。



「遅かったな、ウサギ。なにしてたんだ?」



……容赦ねーな、お前。


お疲れくらい言ってやれよ……



「ごめんね、ちぃちゃん」



おいおい。


雪兎も雪兎だな。


ちゃんと怒れよ、こういう態度。


こいつ、一生このままだろ。



「それで?」


「風利の河西信太は、えっと……」



頼りねぇな、こいつ。


三崎がバカにするのもなんとなくわかるわ。



「あ、あった。えっとね、河西信太は、知らないって。乱魔なんて聞き覚えないし、柏木冬馬なんて会ったことないって」



カバンの中からメモ帳を見つけ、それを見ながら説明する雪兎。



「……………次」



三崎はなにか考えた後、静かにそう言った。



もう、8歳という雰囲気は一切ない。


むしろ、プロの探偵。


実際そうなんだけどな。



「凱霧の夕霧李紅は乱魔ってのは聞いたことあるけど、柏木冬馬は知らないって」



……どうすんだ、これ。


どっちも柏木を知らないって言ってんだろ?


もしかして、三崎の調査ミスか?