天才怪盗が拾った少女




「学校はつまらないのだ。どうして今さらかけ算など、わかりきったことを学ばなければならない。そんなの、とっくの昔に習得している」



……俺の心配を返せよ。



まあ、確かにそうだよな。


こいつは天才少女なんだし、小学校なんてつまんねーに決まってるよな。


だとしたら、こいつのために雪兎は探偵事務所を設立したってことか?



うん、間違いねぇ。


俺、聞いてたわ。



海たちに三崎と雪兎について調べてもらったときに言ってたな。


『住吉雪兎が探偵事務所を設立したのは三崎のため』っての。



いやぁ……


俺って記憶力悪いな……



「ところで、お前って友達いんのか?」



これはホントに素朴な疑問でしてね。


こんな性格してっから、いるかどうか気になった、と言いますかね。



「いるわけがないだろう」



こんなことを平気な顔をして言われるとは思ってなかったわけですよ。



「学校では極力しゃべらないようにしているからな」



……なんだ、性格のせいじゃねーのか。



「寂しくねぇのか?」


「別に。プライベートが楽しければ問題ない」



へぇー……


なるほどね。


面白い考え方してんな。



ってか、なんかの事件を追うのは楽しいことかぁ?


違うだろ、普通……


……いや、こいつは普通じゃねぇよな。



「そういうお前には友達がいるのか?」



なんという爆弾発言。



俺は思わず水を吹き出してしまった。


それを慌てて拭きながら答える。