「ほらよ」
俺は近くにあった自動販売機で水を2本買い、1本を三崎に渡す。
「ありがとう」
すると、三崎は礼儀正しく両手でそれを受け取った。
なんか意外だな。
俺が買ったものに文句でもつけんのかと思ってたんだけど。
「なぁ……お前はどうしてラビットなんて名乗って探偵やってんだ?」
俺は一口水を喉に通して聞いた。
「なぜそんなことを聞くんだ?」
いや、なんとなくですよ。
会話がなくて、シーン……となるのも嫌じゃないすか。
ホントは興味ねぇよ。
「まあいい。退屈だし、ウサギが帰ってくるまでもう少し時間があるだろうから、話してやろう」
どうしてこいつはいつも上から目線かなぁ。
そんなんじゃ友達できねぇぞ!
「あたしは好きでラビットと名乗っているわけではないんだ。お前はもうわかっているだろうが、いつもウサギがあたしの代わりとして推理を話している」
そう言えばそうだったな。
キャラが浮きまくってて変だったけど。
「だから、皆ウサギのほうを信頼している。なにより、ウサギの父親が警視総監だから、余計にな」
つまり……
どういうことだ?
「だから、警察の人間の中でのラビットはウサギのことだ。あたしが本物のラビットだと知ってる人間はウサギとその父親、それからお前らくらいだな」
なんだよ、それ……
「ちなみに、あたしは話せないウサギの妹ということになっている」
は……?
「お前、それでいいのか?」
「ん?別に問題はないぞ?」
なぜか不安になった俺とは裏腹に、三崎は少し嬉しそうな顔をしている。



