天才怪盗が拾った少女





「らん……じゃなくて、一弥。さっさと来い」



固まってる俺に対しての三崎の言葉。



ってか、乱魔って言いかけたよな、今。


それに命令かよ!


何様のおつもりですか、あなたは……!



「柏木の証言が真実だと仮定する」



三崎は自動販売機がある休憩所の椅子に腰かけ、再びパソコンを開き、まだキーボードを打ちながら言う。



「あれが真実だとすれば、柏木に成瀬優弥を殺すように指示したのは成瀬優弥を恨んでるか、妬んでるやつと考えるのが妥当。そこで、まず考えられるのは敵の暴走族」



敵……


なんているわけがない。



『乱魔』は悪いことはせず、困ってる人は助ける。


むしろ好かれるグループ。



「一弥、勘違いしてないか?」


「は?」


「好かれるのは一般人だけだろう。他の暴走族からしたら、そんなグループは気にくわないに決まってる」



……それ、ヤバいじゃねーか。


回り、敵だらけってことだろ。



「……見つかんのか?」


「違う。見つけるんだ」



三崎はパソコンの画面とにらめっこし始めた。



どれだけ沈黙の時が流れたかわからない。


ただただ、三崎がキーボードを打つ音を聞いてるだけ。



「……できた」



三崎はそう呟いて、首を回す。



「できたって、なにが?」


「ん」



三崎は俺らのほうに画面を向けた。


なにやら難しそうなことをなさったようで。



そこに掲載されていたのは、暴走族のグループ名と15年前のリーダーの名前。



『風利(ふうり)、河西信太(かさいしんた)
凱霧(がいむ)、夕霧李紅(ゆうぎりりく)』



「もしかして、この人たちが怪しいってこと?」


雪兎が首をかしげながら言った。


それくらい、確認しなくともわかるだろ……



「まあ、そういうことだな」


「どうしてそう言い切れるんだ?15年前の事件についてだぞ。そもそも、お前、生まれてねぇじゃん」



だが、根拠がないのだ。


こいつらがホントに怪しいという根拠。