余韻に浸りながら海を眺めていたら、急に頬に冷たいものが当たった。
「ひゃっ!?」
「ビックリした」
「それは、こっちのセリフだよ」
「飲むでしょ?」
彼は手に持っていたサイダーを、あたしに差し出した。
「ありがとう。あっ、連絡先とか教えてよ。そうだ、名前は?」
サイダーを受け取りながら言ったあたしの言葉に、彼は静かに首を振った。
「知らない方がいいよ」
「どうして?」
「こんなふうにさ、またどこかで会えたら、嬉しいから」
「会えないかもしれないよ?」
「それでも、きっと忘れないよ。今日、君と会ったことは」
彼は優しげな目をして、そう言った。


