それはきっと37℃の

「じゃあ、これからは何かが変わる?」


「さあ、どうかな」


「何それ……。それに、あんたの方がリスク大きくない?」


あたしは、ふてくされている小さな子供みたいだ、と自分で思った。


「たぶんね、歳を重ねれば重ねるほど、見返りは小さくなるんだよ。だから大人は皆、しがみ付くんじゃないかな。今より悪くならないようにって。変わることより、変わらないことの方を望むんだ」


そう言ってから、彼は静かに目を閉じた。


「本当はさ、同じ時間なんて一秒だってないはずなんだけどね。同じ自分も気づいたら居なくなってて……、変わりたくなんかなくっても」


彼の声はとても寂しそうに小さくなって、風の中に消えていった。




彼の言葉をギュっと抱きしめる。




そうだ、きっと気づかないだけで。

通り過ぎた時間は、二度と戻らないって知っているのに。

止まった時間の中で生きてるわけじゃないのに。


どうして、同じ毎日だって思ってしまうんだろう。