それはきっと37℃の

なんでこんなことを言ってるんだろう。

きっと彼は困ってる、そう思ったけれど、頭の中よりも心の中が、もうぐちゃぐちゃで。

訪れる沈黙を嫌う言葉は、ただ身勝手だった。


「なんか言ってよぉ」


最悪だ、あたし。


「参ったな」と彼が言う。


それでも、その声は優しかった。


「君は……ここまでさ、どうやって来た? 家、近いわけ?」


「……電車を乗り継いで。駅からは歩いて」


「電車に乗ったことも、電車から降りたことも、ここまで歩いたのだって、自分の意思でしょ?」


横目で彼を見る。

いつの間にか砂浜の上に寝そべっていた彼は、空を見ながら話していた。


「誰かに歩かされてるわけじゃないよ。君も、俺も。自分の足で歩いてるんだ」


「だったら、どうして何も変えられないの?」


「変えたいって思うのと、変えようとするのは違うよ。リスクを背負わずに何かを変えたいなんて、わがままだよね。今日、君は学校を、俺は会社をサボった。だから今、こうやって話せてる」