なんでこんなことを言ってるんだろう。
きっと彼は困ってる、そう思ったけれど、頭の中よりも心の中が、もうぐちゃぐちゃで。
訪れる沈黙を嫌う言葉は、ただ身勝手だった。
「なんか言ってよぉ」
最悪だ、あたし。
「参ったな」と彼が言う。
それでも、その声は優しかった。
「君は……ここまでさ、どうやって来た? 家、近いわけ?」
「……電車を乗り継いで。駅からは歩いて」
「電車に乗ったことも、電車から降りたことも、ここまで歩いたのだって、自分の意思でしょ?」
横目で彼を見る。
いつの間にか砂浜の上に寝そべっていた彼は、空を見ながら話していた。
「誰かに歩かされてるわけじゃないよ。君も、俺も。自分の足で歩いてるんだ」
「だったら、どうして何も変えられないの?」
「変えたいって思うのと、変えようとするのは違うよ。リスクを背負わずに何かを変えたいなんて、わがままだよね。今日、君は学校を、俺は会社をサボった。だから今、こうやって話せてる」
きっと彼は困ってる、そう思ったけれど、頭の中よりも心の中が、もうぐちゃぐちゃで。
訪れる沈黙を嫌う言葉は、ただ身勝手だった。
「なんか言ってよぉ」
最悪だ、あたし。
「参ったな」と彼が言う。
それでも、その声は優しかった。
「君は……ここまでさ、どうやって来た? 家、近いわけ?」
「……電車を乗り継いで。駅からは歩いて」
「電車に乗ったことも、電車から降りたことも、ここまで歩いたのだって、自分の意思でしょ?」
横目で彼を見る。
いつの間にか砂浜の上に寝そべっていた彼は、空を見ながら話していた。
「誰かに歩かされてるわけじゃないよ。君も、俺も。自分の足で歩いてるんだ」
「だったら、どうして何も変えられないの?」
「変えたいって思うのと、変えようとするのは違うよ。リスクを背負わずに何かを変えたいなんて、わがままだよね。今日、君は学校を、俺は会社をサボった。だから今、こうやって話せてる」


