帰りの電車で泣くくらいなら、怒田に八つ当たりしている方がマシだ。あたしにとって。 「浮気三回してんの」 爽やかな色のスニーカーの爪先にすら今は憎しみを覚える。あたしが可愛いと思って買ったのに。 つまらなさそうに腕を後ろについていた怒田がこちらを見た。 「……こわ」 「怖いってどういう感想?」 「三回も浮気をされてまだ付き合ってる廿楽と、三回も浮気をして許される彼氏の関係が怖い」 「許したからまだ付き合ってるの。ちゃんと謝って許して、」 腕を組んだ怒田が怪訝な顔をする。