うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「いや、でも、別に、了弥に叱られる理由もないしさ、よく考えたら」

 まあ、それを言うなら、家に泊めてもらう理由もないのだが。

 鍵の件もどうなっているのか、了弥に訊いても、まだ返事がない、の一点張りだし。

 でも、正直言って、居心地がいいので、積極的に出て行きたくはないのだが。

 いつまでも、世話になっているわけにもいかないしな、と思ってはいた。

「で、その朝帰り男の候補って、見つかったの?」

 ちょっと気を使ってか、今度は、逃亡男とはエレナは言わなかった。

「うーん。
 一人だけ」

「いい男?」
「うん、まあ」

 いい男っていうか、綺麗な顔してるよな、と夕暮れどきに校庭で会った神田の顔を思い浮かべて思う。

「どっちにするの?」
「どっちって?」

「真島課長とどっち?」

「いやいやいや。
 了弥が出てくる意味がわからないし。

 神田くんだって、エレナが言う通り、逃げて、知らんぷりしてるのかもしれないし」

「じゃ、やっぱり、両方やめて、次行った方がいいよ」

 ……話早いな、エレナ。