うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜





「真島くん」

 廊下を歩いていた了弥は、専務に呼び止められた。

「日曜は暇かね」

 ……暇じゃないです、と了弥は心の中で思った。

 あの莫迦をそっと物陰から見張っておこうと思っていたのに、ゴルフに誘われてしまう。

 断りたい。
 そう思ったが、専務の後ろに居る本部長が目で訴えてくる。

 断るな~っ、と。

 笑顔の専務との対比が怖い、と思いながら、
「はい、大丈夫です」
と答える。

 自分を押してくれた本部長の顔を潰すわけにはいかない。

 専務に頭を下げながら、あの莫迦、新たなトラウマを作ってくるなよ、と思っていた。