うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 こらっ、と怒鳴っている未里の声を聞きながら、
「あ、いーよいーよ」
と言ったとき、了弥が、

「おい、瑞季。
 珈琲入ったぞ」
と言ってきた。

 あ、この莫迦っ、と思ったら、案の定、耳ざとい未里は聞いていたようで。

『やだっ。
 ちょっと、今の誰っ?

 なんで、朝から一緒に居るのっ』
と興味津々聞いてくる。

「や、やだな。
 了弥だよ」

『……いや、あんた。
 やだな、了弥だよ、じゃないわよ。

 いつから付き合ってるのよ。

 会ったことないけど、了弥って、お宅の上司よね?』

「上司っていうか、ま、同期だけど」

『そうなんだー。
 ってか、神田くんはどうなったのよ。

 お持ち帰りされちゃったんじゃなかったの?』

 もう未里の中では、それは決定事項になっているらしかった。