うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 


 いつの間にか、珈琲を淹れる係は了弥で決まってしまっていた。

 了弥が自分が淹れたのじゃないと味に納得しないから、というのもあるが、なんとなく。

 朝、朝食を終え、支度をしていると、突然、スマホが鳴った。

 えっ?
 誰だろう、こんな時間に、と出ると、相手は沈黙している。

 早朝からイタズラ電話か? と思ったが、よく見れば、未里からの着信だった。

「も……もしもし?」

 具合が悪くて、助けを求めて来たが、しゃべれないとか? と思っていると、ふいに子どもの笑い声が聞こえてきた。

「こ、子どもか」

 ときどき、友達の子どもが勝手にスマホを触って、うっかり発信してくることがあるが、今もその状態のようだった。

「もしもしー」
と子どもに話しかけるように話していると、了弥が、なにやってんだ、という顔でキッチンからこちらを見る。

『あっ。
 あんたたち、なにやってんのっ』
とすぐに未里の声が聞こえてきた。

『もしもし?
 ごめーん、瑞季。

 こいつら、勝手にかけちゃったみたい』