うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜






 了弥はそうっと瑞季の部屋のドアを開けてみた。

 瑞季はすやすやと眠っているようで、ほっとする。

 こう何度も覗いていると、俺がヤバイ人だな、と思いながらも。

 それにしても、瑞季はピュア過ぎる。

 なにが、ありがとう、だ。

 お前が誰かとしゃべってたから、気になって覗いてみたんだろ。

 俺が夜這いに来たのかもしれないのに、なにが、『あ、心配してきてくれたの? ありがとう』だよ。

 しかも、とびきり可愛い顔で笑いやがって。

 此処に居てくれるのはいいが、指一本触れられないとか意味がわからないし。

 だが、ありがとう、と微笑んだ瑞季の顔を思い出し、まあ、ひとりがあの笑顔を間近に拝めただけで、よしとするか、と思いながら、部屋へと戻った。