うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 


 さてさて、寝るか。
 ……それにしても、すっかり人様のうちでくつろいでいるが、いいのだろうか、と瑞季は思う。

 部屋を貸してくれている兄夫婦に言ったら、殴られそうだが、この家の方がなんだか落ち着く。

 そんなことを思いながら、ベッドに入ろうとした瞬間、スマホが鳴った。

 神田だった。

「はい」
と出ると、店の予約をしたという電話だった。

『そんな畏まった店じゃないんだけど、混むからね』

「そうなんだ?
 ありがとうー」
と言いながら、布団に入る。

 少し沈黙があった。

 どうしたんだろ、と思っていると、
『日曜に約束しなきゃよかったよ』
と言ってくる。

「あ、なんか用事できたの?
 だったら……」

 日にち変えようか? と言ったのだが、神田はそうじゃない、と言う。

『だって、日曜に約束しちゃったから、日曜まで会えないじゃない』