うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 下がりかけたTシャツを引っ張り上げながら、了弥は言う。

「お前さ、もし、その、みだらな行為に及んだ相手を発見しても――」

「なにそのニュースの常套句みたいなの……」

 私は児童買春で捕まったオッサンか、と思っていると、
「相手を責めるなよ」
と了弥は言ってきた。

「なんでよ」

 いや、責める予定は特にはないが、何故、知りもしない男をかばう、と思いながらも訊き返すと、
「そういうときって、相手だけが悪いとは限らないだろ」
と言ってくる。

「強姦したんじゃない限り。
 ま、多少、無理やりだったとしても、お前にも問題があったんだ」

「私に?」

「例えば、ほら……」
「隙があるとか?」

 いや、そうじゃなくて、と了弥は言う。

「例えばその……お前がすごく……」
「色っぽかったとか」

「それはない」

 即行否定か。

「じゃ、積極的だった」

「それもねえだろ。
 阿呆なこと言ってないで、さっさと風呂にでも入れよ」

「……あんたが振ったんじゃないの、この話」