うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 一応、ケジメをつけるために、社内では馴れ馴れしい態度は取らないようにしているが。

 まあ、それ以前に、職場での了弥は怖いので、意識しなくてとも、彼を前にすると、畏まってしまうのだが。

「私、昨日、小学校の同窓会に行ったのよ」
と言うと、一瞬の間を置き、へー、と了弥は言った。

「楽しかったんだけど……」

 その先を言うのは、ちょっと迷う。

 すると、
「なにか失態でもやらかしたのか」
と言ってくる。

「なんでわかったの?」
とテーブルに肘を突き出し、身を乗り出して訊くと、

「お前が失態を犯さない方が珍しいからだ」
と言う。

 少し迷ったが、昨夜のことを了弥に語った。

 誰よりも口が堅い気がしたからだ。

 だが、まあ、これこそ、失態だったと思う。

 確かに、口は堅いが、まず、誰より彼に知られるべきではなかったのではないかと。

 まあ、そのくらい錯乱していたのだ。