うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「あいつ、見たらわかるとか言ってたよ」

 ロクでもない能力だな。
 坂上くんとは、今後、二度と顔を合わせないようにしよう、と思う。

 二度と……

 絶対。

 はい、と拾ってくれたファイルを渡しながら、笙が言ってきた。

「ところでさ、相楽さんが僕のことを笙って呼ぶんだから、僕も瑞季って呼んでいい?」

「え、それは別にいいけど」

 瑞季がボタンを押していた階に着いたので、笙が、開くボタンを押しておいてくれる。

 ありがとう、と言って、そそくさと降りた。

 坂上、二度とあいつとは会うまい。
 絶対に、と遊び人の同期の顔を思い浮かべ、すぐに揉み消した。