うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「さすが、相楽さんだね」

「ねえ、あ……笙くんも了弥のこと、こらーって思ってる?」
と訊くと、

「こらーって、なに?」
と苦笑いしながらも、

「いや、僕は思ってないよ」
と言ってくる。

「あいつが頑張ってるから、ちょっと先に行っただけ。
 僕もすぐに追いつくよ。

 そのとき、僕も一緒に叩かれたら嫌だから、ちゃんと了弥が同期から嫌われないよう、根回してしてやってるんだよ」

 あいつは、人間関係の調整とか、そういうの苦手だから、と言う。

 ……計算高いような、人がいいような。

 ぷっ、と瑞季が笑うと、笙は、
「だから、あいつが同期に妬まれるとしたら、どっちかって言うと、仕事のことじゃなくて、君のことじゃない?」
と言ってくる。

「それに関しては、僕も妬んでるしね」

「へっ?」

「いや、本当に」
と何処までが本気で、何処までがおべんちゃらかわからない調子で、笙は言ってくる。

「でも、相楽さんってさ。
 やっぱり、了弥とは付き合ってないんだ?」

 うん、と言うと、
「いや、坂上が、相楽さんは、絶対、処女だって言ってたから」

 バタ、と手からファイルが落ちる。