うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 えーと。

「だって、同期で名前で呼んでるの、了弥だけじゃない?
 了弥と付き合ってるの?」

「違うけど」

 世話にはなってるけど。

「じゃあ、僕のことも名前で呼んだ方がいいよ」

「な、なんで?」

「了弥ひとりを特別扱いすると、あいつ、ますます同期の中で浮いちゃうよ。
 それでなくとも、ひとりで役職づきになって浮いてるのに」

「……そうなんだ」

 まあ、そういうこともあるかな、とは思っていた。

「相楽さんがしょんぼりすることないじゃん。
 やっぱり、了弥が好きなの?」

「そう……じゃないと思うけど。
 なんか同期の中で、そんなの嫌じゃない」

「でもまあ、了弥と結婚したら、いいよね、きっと。
 あいつはもっと上まで行くよ」
と言うので、

「いや、私は結婚相手には、上まで行くとかそんなのじゃなくて、普通にみんなと楽しく過ごして欲しいんだけど」
と言うと、笙は笑い出す。