なにが、はははは、だ。
莫迦が、と了弥は瑞季を見送ったが、あの間抜けな画面と、気が抜けるような瑞季の悲鳴を思い出し、笑う。
「なにかこう、急接近だねえ」
という声に振り返ると、同期の安西笙(あんざい しょう)が立っていた。
すっきりとした和風の男前で、同期の女子が、安西くんって、歌舞伎役者みたいだよね、と言っていた。
瑞季は、何故か、歌舞伎役者が隈取りのメイクをした顔を思い浮かべたらしく、
『なんで?』
と言って笑っていたようだが。
……また、瑞季のくだらないエピソードを思い出してしまった、と思いながら、
「なにが?」
と訊く。
「相楽さんとお前。
まあ、もともと仲よかったけど。
なんか一段とべったりになってない?」
「なってない」
と素っ気なく言うと、へー、と言い、
「まあ、モテるよな。
その年で課長とかなると」
と嫌味を言い、ほら、と彼の課の課長に頼まれたらしい書類を渡してくる。
「ああ、すまん」
と受け取ろうとすると、さっと書類を上へと上げる。
上に手を伸ばすと、左へ避ける。
「……なにやってんだっ」
「嫌がらせ」
と言ったあとで、ほら、と投げてきた。
なんなんだ、お前は~っ、と同期の背を見送る。



