うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「起きてる……」
と言うと、しょうがないな、と言い、入ってきた了弥が布団を引っぺがす。

 わっ、と思って引っ張り返そうとすると、了弥はベッドに上がってきて、
「いいから、寝ろ。
 お前が寝つくまで見ててやるから。

 変な男が入ってこないように」
と言ってくれる。

「え、でも」

「気が変わらないうちに寝ろよ。
 寝不足だと、仕事でミスが増えるしな。

 お前、今日、最後に提出した書類、日付間違ってたぞ」

「えっ、すみませんっ」
とつい、職場で『真島課長』に話すように謝ってしまう。

「明日、朝一で直せ、おやすみ」

 課長の口調で言われると逆らえない。

「お、おやすみなさい」
と言い、目を閉じてみた。

 了弥との間に距離はあったが、彼の熱は感じた。

 そのまま、その触れてはこない熱が伝播したように身体が温まり、うとうととしてしまう。