「瑞季」
と自分の名を呼んでいたのは、ベッドに腰掛けている了弥だった。
開いたドアから差し込む廊下の灯りの中、すぐ側に座っている彼の姿が、最初は影にしか見えず、ぎくりとしたが、やがて見えてきた自分を見つめる瞳に、ほっとする。
「大丈夫か?」
と言う彼に、
「怖かったーっ」
と叫ぶと、
「どうしたんだ、うなされて。
悪い夢でも見たのか?」
と訊いてくる。
「生贄の人がっ」
「生贄の人?」
「生贄の人が私の上に乗ってたっ!」
了弥は頭を抱える。
「えーと……
ちょっと落ち着いて話せ」
ま、まあ、突然、そんなこと言われても、そういう反応になるよな……。
あまり語りたい話ではなかったが、夢の中であの夜の記憶が再生されたので、ちょっと我慢して、覚えているその先を見ようとしたことを了弥に告げる。
「それはあれだろ。
顔を覚えてもいないのに、無理に思い出そうとしたから、そんな夢を見たんだろ」



