うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 



 これは夢だな、と瑞季は思っていた。

 あの、酔っています、酔っていません、酔っていますの、酔っていませんの状態から記憶が再生されていたからだ。

 唯一覚えているあの夜の記憶だが、直視したくはない。

 だが、あのとき、現実逃避して、意識をすっ飛ばしたことを今も後悔しているので、ちょっと我慢してみた。

 もしかして、忘れたはずの男の顔が思い出せるかもしれないと思ったからだ。

 確かに、男の顔は見えた。

 だが、何故か、彼は、白いお面をかぶっていた。

 つるりとした、ただ、目と口だけ穴が空いているお面だ。

 なにか生贄の儀式ででも使うような。

 怖すぎるっ。

 誰か、助けてーっ、と夢の中で思ったとき、誰かが、
「瑞季」
と呼んだ。

 その声に引かれるように瑞季は目を覚ました。