うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 キッチンに戻った了弥は、ほら、とマグカップに入れた珈琲を差し出してくる。

 ほっとする香りだった。

「……ありがとう」
とソファに座り直し、それを受け取る。

 了弥は横に腰掛け、
「で? 神田は違ったってわかったんだろ?」
と話をまとめるように言ってきた。

「……わかんない」
と言うと、飲むのをやめ、は? と言ってくる。

「だってさー。
 なんか神田くん、思わせぶりなことばっかり言うもんだもん。

 そもそも、なんで、私が誰かをお持ち帰りしたことを知ってるわけ?」

「そりゃ、お前の態度から察しただけじゃないのか?
 お前の場合、見てるだけで、いろんなことが丸分かりだからな」
と了弥は言ってくる。

「猫舌のことだって、俺も知ってたぞ。
 今だって、すぐ珈琲飲まないし」
と言われ、うっ、と詰まった。

「その調子で、なにもかも読み取られたんだろ?

 頭のいい奴なら、うまく誘導しながら、お前の口からヒントになることを引き出すことも可能だろうしな」
と言われ、ああ……と思う。

 そんな気がしてきた。

「まるで、怪しい霊能者ね」
と今此処に居ない神田に向かって愚痴る。