うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 



 書店が昔ながらな感じだったので、もんじゃ焼きの店もそうかと思っていたら、違った。

 今どきの新しい店だ。

 なんとなく、色褪せたメニューが壁一面に貼ってあるような店を想像していたのだが。

 まあ、どっちにしても、美味しそうだな、と思いながら、座敷に座り、メニューを眺める。

 他の客が焼いている匂いが店内に漂っていたからだ。

「相楽さん、車じゃない?」
と訊いてくるので、うん、と言うと、

「じゃあ、呑もうよ」
と神田が言ってくる。

 瑞季は、笑顔のまま、一瞬、止まっていたが、結局、
「……うん」
と答えた。

「どうしたの?」
と訊いてくるので、

「あとで話す」
と言った。

 いや、すべてを話すつもりはないが。

 了弥と同じ呆れた顔を神田くんにもされるのはごめんだ。

 それに、了弥に話したときは、まだ動転していたから話してしまったのだが、かなり冷静になっている今、もう誰にも話すつもりはなかった。

 未里にも。