うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 本当にやさしくないな、と笑ってしまった。

「結構遠いね。
 なんか疲れてきたよ。

 ちょっと靴ずれしてるし」

「その服、朝日の趣味だな」

「そうなの。
 わかる?」

 お前がいつも着てるのとはちょっと違う、と不機嫌に了弥は言う。

「……おぶってやろうか?」

「えっ?」

 住宅街に入り、もうあまり人気はなかった。

「5秒以内に乗れ」
と道端にしゃがんだ了弥が言う。

「5……4……3……2……」

 人はカウントダウンされると、焦ってやってしまうのは何故だろう。

 背負ってもらうのは恥ずかしいなと思っていたのに、慌てて乗ってしまった。

 すぐに了弥が立ち上がる。

 だが、歩き出すまで、一瞬、間があった。

「あ、重いって思った」