うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「それで、朝日くんのところにも、神田くんに止められたのに、一人で行ったの。
 ただ、確かめるだけだと思ってたから。

 朝日くんじゃないってことを」

「相手が悪すぎだろ」

 よく無事に帰ってこれたな、と変に感心して言ってくる。

「あのとき、本当はなんて思ったの?」
と言うと、え? と了弥が言う。

「相手が見つかっても責めるなって私に言ったじゃない。
 あのとき、襲われたのは私に問題があったんだって言ったでしょ」

『例えばその……お前がすごく……』
『色っぽかったとか』

『それはない』

『じゃ、積極的だった』

『それもねえだろ』
と了弥は切って捨てた。

「お前がすごく、なんだったの?」

 忘れろ、と了弥は言ったが、少し考えて、スマホの画面を向けてきた。

「……いつ撮ったの、これ」

 それは眠っている瑞季の写真だった。

 子供みたいな寝顔だな、と思う。

 我ながら、あどけないというか、なんというか。

 恐らく、あの晩のものだ。

 それだけ見せて、了弥はなにも言わなかった。

「……聞きたい、口に出して」

 言えるかっ、と吐き捨てる。