うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「お前が全部忘れているのなら、一からやり直そうと思ったのに、お前はどうしても、あの晩の男を割り出したいみたいで。

 次から次へと男を渡り歩いて」

 なんて人聞きの悪い言い方をするんだ。

 訊いて歩いただけではないか。

 どうなんだろう、この被害者面、と思う。

「私は……どうしてもハッキリさせたかったの。
 変な貞操観念を持つなとみんなに言われたわ。

 でも、気になったから。
 なんだか……あの夜、そんなに嫌じゃなかった気がして」

「今、なんて言った?」

 二度は言わない、と瑞季は肩が触れそうなくらい近くに居る了弥を見ずに言った。

「朝日くんの言う通り、私が弾みだったしても、嫌いな人とそんなことするわけないって気がついた。

 だったら、貴方しか居ないと思ったの」

「……今のところ、もう一回言ってみないか?」

 だから、言わないって、と赤くなって言う。