うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜





「じゃあねー、相楽さん。
 了弥に襲われそうになったら、電話して」

 そう言い、居酒屋の前で、朝日が手を振る。

 相楽さん、と神田は手を握ってきた。

「君は妙なところで生真面目な人だけど。
 変な貞操観念に縛られて、了弥と一緒にならなくてもいいんだよ。

 言ったじゃない。
 僕じゃなくても、僕を好きになってくれたら、それでいいって」

 なにを言ってんだ、お前らは、という顔で、了弥が二人を見ていた。

 未里は早々に、迎えに来たご主人に連れ戻されていた。

 あの日も子供が泣いたからなんて嘘だったんだな、と思う。

 きっと、同窓会に行った未里が心配で、無理やり子供を泣かせたに違いない。

 なんだかそれも微笑ましいが。

 そんな微笑ましいカップルに、朝日が、
『どうも、元彼の佐藤朝日です』
と余計な挨拶をして、波風を立たせようとしていたが。

 ……困った人たちだ、本当に。

 でも、本当に困った人なのは、この人だな、と了弥を見る。