うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「ごめん。
 なんでもない。

 なんで神田くんの番号入ってるのかなーと思って、かけてみた」
と言うと、

『相楽さんらしいね』
と笑う。

 相変わらず、上品な物言いだ。

『それにしても、なんで入ってるのかなって、もしかして、記憶がないの?』

 ストレートに訊かれ、はは……と笑うと、神田は、
『今度、DVD焼いてあげるって言ったからだよ』
と言ってきた。

「DVD?」

 スマホに反対側から、耳を当て、勝手に了弥が聞いている。

 こらっ、と頭を押して離した。

 どうやら、例の特撮番組をDVDに焼いてくれるという話のようだった。

「そうなんだー。
 ありがとう」

『いつが暇?』

「しばらく暇じゃないと言え」
と小声で、了弥が言ってくる。

 何故、貴様が仕切るっ。