うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 だが、長く神田に付き合ってもらうのも悪いので、震える指で、1.5倍にしてみた。

 気の短い了弥が居たら、3倍速にしろっ、と叫ぶところだろう。

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「誰も映ってないじゃん」
と神田は言うが、いや、朝日だとて機械ではない。

 そこまで正確に覚えてはいないのでは。

 時計を見たのは、ロビーじゃなくて、部屋を出た直後だったのかも、と思ったとき、エレベーターの扉が開いた。

 男だ。

 赤いチェックのシャツをTシャツの上に羽織ったラフな服装をしている。

 二人とも沈黙した。

 瑞季の指が無意識のうちに、倍速を解除していていた。

 実は1分という時間はとても長い。

 ……

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 ようやく時間が変わる頃、男はロビーを出て行った。

「相楽さん、しっかりっ」

 ちょっと意識がふらっと来て、椅子から落ちそうになってしまった。