「こっちこっち、相楽さん。
いつも悪いねえ」
と管理人のおじいさんが、瑞季が渡した老舗の和菓子の入った紙袋を手に言う。
管理人室に通してくれた。
「いやー、ロビーに鍵、なかったけどねえ。
誰か拾ったのかなあ?
相楽さんの部屋の鍵もなくなったんだよね?
それも、一緒についてたの?」
と問われ、はい、と言う。
「そうかあ。
えーと、機械の操作よくわかんないんだけどね」
「あ、僕がやりますからいいですよ」
と神田が言うと、
「そう? 悪いね。
ああ、宅配便だ」
と管理人さんはトラックの音に管理人室を出て行く。
神田はそちらを見ながら、
「古くて規則も緩いマンションでよかったね。
最近のマンションの防犯カメラはこんな簡単に見られないよ。
いろいろ細かく取り決めがあるから」
と言ってくる。
「朝日くんも見られないと思って言ったのかな?」
「さあ、どうだろうね。
朝日、何時って言ったって?」
「2時15分」
と言うと、わかった、と言う。
ピンポイントでその辺りの時間に飛べるようだった。



