うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜






 なにが朝日くんだ。
 殺すぞ。

 そんなことを思いながら、了弥はもう、いつも通り仕事している瑞季をデスクから睨んでいた。

 だが、だいたい、いつもこんな顔つきなので、誰も特に睨んでいるとも思わないかもしれない。

 瑞季が何故、朝日に会いに行ったのかなんとなくわかるような気がする。

 そろそろ限界か、と思ったとき、瑞季がこちらを振り向いた。

 どきりとしたのだが、そんな感情は顔には出づらいようだった。

 案の定、瑞季はびくりとした顔をしている。

 怒っているように見えたらしい。

 いや、怒ってはいるのだが。

 そのとき、デスクに投げていたスマホが光るのが見えた。

 神田から着信している。

 暇なのか、教師、と思ったが、どうも休み時間にかけてきたようだった。

 とは言っても、移動時間などを考えると、十分もないだろうに。

 わざわざかけてくるとはどうした、と思いながら取ると、いきなり、わめき出す。