うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「いや、連絡しようと思ってたんだけど。
 なんだか朝日くんから目を離せなくて」

「なにをしゃあしゃあと言ってるんだ、お前は」

「そういう意味じゃなくて、あの人危なっかしいから」
と言ったが、胡散臭げにこちらを見ている。

「朝日くんと大学で同級生だったんだってね。

 彼が貴方に婚約者を取られた恨みで私を拉致監禁してたんだけど」

「拉致監禁?」

「いや、自分で行ったから、監禁だけかも」
と言うと、ひょいひょい付いて行くなよ、という顔をするが。

 いや、私の同級生だが、あんたの友達だろう、と思った。

「それから、朝日の婚約者なんて取った覚えはないぞ。
 っていうか、会ったことあるか?」

 会ったことあるかってなんだ。

「貴方につきまとってたらしいわよ」

「そうなのか?
 俺の視界には入ってなかったが」

 ……入ってなさそうだな、この人。

 興味のないものは、目の前にあっても目に入らなさそうな人だ。

 ちょっとほっとしてしまっていた。