うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 人が結構廊下を通るので、少しベランダ側に寄った。

 仏頂面の了弥と向かい合っているので、なにかミスして、叱られていると思われたかもしれない。

「死んだかと思ったぞ」

 ふいに了弥はそんなことを言ってくる。

「なんでよ。
 帰ってこなかったから?」

 いや、夢枕に立ったからだ、と言う。

 なんだ、それは。

「神田にでも刺されたかと思った」

 それでなんであんた、平然と此処に居るんだ、と思っていた。

「大丈夫だ。
 お前が刺されてたら、刺し返してやる」
と言ってくるので、

「いや、それ、なにも大丈夫じゃないよね」
と返した。

 夢枕に立った時点で死んでるし。

 要するに、なんだかわからないが、嫌味を言っているのだろう。

 まあ、住まわせてもらってる身で勝手に外泊したことは申し訳ないと思っているので、とりあえず、深々と謝る。

「実は朝日くんのところに居たの」
と言うと、

「……そう来たか」
と言ってきた。

 そう来たかってなんだ……。