うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「ありがとう、朝日くん」
と言いながら、車を降りると、朝日は溜息をつき、

「録画データに映ってるのが僕でも、もう連絡してこないでね」
と言ってくる。

 さっき危ないときは連絡してこいって言ったくせに、と思いながら、

「……確かに迷惑かけたけど。
 そこまで嫌わなくても」
と呟いた。

 せっかく楽しく二人で美味しい朝食を食べたのに、お互い、嫌な気分になるではないかと思ったのだ。

「そういう意味じゃないよ」
と車を出そうとしながら、朝日は言う。

「逆。
 だから、もう僕に話しかけないで」

 ドア閉めて、と素っ気なく言うので、
「ごめんね。
 病院、間に合う?」
と言いながら、ドアを閉めると、

「余裕」
と言うのが聞こえたが、いや、結構ギリギリなんじゃと思っていた。

 本当に素直じゃないし、可愛くない。

 意外に親切なのにな、と思いながら、朝日の車が交差点を曲がっていくのを見ていた。