うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「君のマンション、防犯カメラがあるよね」

 どきりとしていた。
 その事実から、ずっと目を背けていたからだ。

「確認して。
 行ったときは覚えてないけど、帰りは覚えてるんだ。

 ロビーを通った時間。

 タクシー捕まるかな、と思って時計見たから。

 早く確認しないと、録画データ消えちゃうよ。
 そんなに長くは取ってないだろうから」

 2時15分だよ、と朝日は言った。

「彼氏がロビーで鍵を落とした気がすると言ってるんで、その時間の辺りだけ、ピンポイントで見せてくださいって、管理人か警備会社に言ったら、見せてくれるよ」

 そう教えてくれる。

 確かにそう言えば、見せてくれそうだと思いながら、見たくないなあとも思っていた。

 いや、確認したいのは確かなのだが。

 いざ、本当に目の前にその事実が突きつけられるかと思うと、なかなか心構えができてこない。

 そこに映っているのが朝日でも、そうじゃなくても。