うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「どうしよう。
 急に佐藤くんをはっ倒したくなってきた」

 朝日だってば、と訂正したあとで、
「やれば? 今。
 車ぶつかるかもしれないけど」
と言ってくる。

「降りてからよ」

「会社の前で車から降りて、僕を殴るの?
 さぞかし、話題の人になるだろうね。

 っていうか、了弥も見るんじゃないの、それ」

 そうだ。
 了弥に結局、なにも言わずに、外泊してしまった。

 昨日は連絡できる雰囲気じゃなかったし。

 まーずーいー。
 人様のおうちにお邪魔させていただいている分際で、無断外泊とか。

 成敗されてしまうっと思っているこちらの顔色を見て、朝日は笑う。

「どうしたの?
 幸せな朝から、一転、真っ青な朝になってるよ」

「なに楽しそうなのよ。
 朝日くんも謝まってよ、一緒に」

「誰に?
 まさか了弥に?

 頭おかしいの?

 百歩譲って、君には謝ってもいいけど。

 了弥には絶対嫌だよ」

 待て。
 私に謝るのに、百歩も譲らないと謝れないのか。