うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 



 スカイラウンジに入るまで、あんまり食べる時間もないのに、こんな高いところもったいないなあ、と思っていた瑞希だが、中に一歩入った途端、朝日に言っていた。

「佐藤くん、私、今日、会社休むわ」

 はい? と朝日が振り向く。

 いつも旅行で泊まったときに食べる朝食バイキングもそう悪くないのだが。

 此処は、種類も見た目も全然違う。

「もう仕事行かない。
 此処に座ってゆっくり食べる」

 とりあえず、あのパンを端から制覇して、壺に入ったスープを全制覇して、ふわとろオムレツとスクランブルエッグを両方作ってもらって。

 それからそれから……。

「どんなに頑張っても君のお腹には全部収まりそうにないけどね。
 それから、佐藤くんはやめてって言ったでしょ」
と言う彼と一緒に案内された窓際のテーブルに座る。

「全部食べられないのはわかってるわ。
 でも、なんかもう、見てるだけで幸せなの。

 あのチーズとか」

 自分で好きなだけ切れるようになっているチーズの塊が何種類も木の器に盛ってある。

「私、此処に住むわ」
と宣言すると、

「住んだら?」
と笑って、朝日は立ち上がる。