うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「あー、そうだそうだ、会社。

 なんか昨日からいろいろあったから、勝手に休日な気持ちだった」

 了弥に怒られるところだった、と思いながら、
「ありがとう、佐藤くん」
と言うと、

「朝日」
と朝日は言った。

「朝日でいい。
 ちょっと今、急激に名字が嫌いになったから」
とよくわからないことを言う。

「じゃあ、朝日くん。
 私も瑞希でいいわ」
と言うと、

「嫌だよ、君は相楽さんだよ」
と言ってくる。

「なんで?」

「相楽さんにしときたいから」
 さあ、行こう、と手を引きかけ、朝日は何故かやめた。

「ほら、早くして。
 ご飯食べたら、服買ってあげるから」
と言ってくる。

「え、なんで?」

「そのまま行く気?
 家帰ってる時間ないでしょ」
と寝乱れたスーツを見て言う。

 いや……服買ってる時間の方がない気がするんですが、と思っていると、
「嫌だって言うんなら、うちのおばあちゃんの昔の服着せるよ」
とよくわからない脅しをかけてくる。

 そもそも、おばあちゃんの服が此処にあるのか? と思っているうちに、車に乗せられ、連れて行かれた。