うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 




「起きて。
 起きて、相楽さん」

 誰かに何度も呼ばれ、瑞希は目を覚ました。

 まだ暗いよ、と思ったのだが、家のカーテンとは違う、立派な遮光カーテンが閉まっているせいだった。

「起きてよ、早く。
 ご飯食べに行くよ」

 見ると、既に身支度を済ませた朝日がベッドに腰掛けていた。

「食べに行くって何処に?」
と言いながら、起き上がったまま、ぼんやり座っていた。

「近くのホテルのバイキング」

「……なんで?」
とようやく振り返る。

「いろいろ食べられるから」

 いや、そりゃそうだけど。

「朝から野菜とか切るの面倒じゃない。
 あそこなら、なんでもあるから」

 そりゃそうだけど、泊まらずに食べたら、かなり高いよね? と思ったのだが、
「奢ってあげるから、ほら、早くして。
 会社遅れるよ」
と急かされる。