うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「なんの取り柄もなくて、勉強もできないくせに、婚約破棄されたから、取り繕うために、留学したらしいよ。

 そこから後のことは知らないよ。
 家同士の付き合いもなくなったからね。

 おじいちゃんにしょんぼりされて、僕もしょんぼりだよ。

 そのうち、なんだか、了弥にも腹が立ってきてさ」

 八つ当たりだ……。

 そこから更に私に来るなんて、最早、八つ当たりも通り越していると思うが。

「あのさ」
と言っただけで、なにっ? と朝日に睨まれる。

 どんだけ心の傷になってるんだ、と思った。

「佐藤くん、なんだかんだ言いながら、その人のこと、好きだったんじゃないの?」

 浮気したりしながらも、その人のところに戻っていたのも。

 未里にのめり込まないようにしたのも。

 本当はいつでも彼女が待っててくれると思っていたのでは。

 それをあっさり了弥に持って行かれたから。

 いや、持って行ったかどうかは知らないが、だからこそ、了弥にも彼女にも腹を立てたのだろう。