うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「好きまで行ってたかは知らないよ。
 でも、僕の鼻持ちならない許嫁よりはマシだったかな」

「許嫁?
 そんなの居たの?

 っていうか、そんな人が居るのに、未里と付き合ってたの?」

「彼女には、そういう相手が居るとは言ってあったよ。
 それでもいいって言ったんだ。

 そういうお家だから仕方ないよねって。

 なんかうち、昔、家が良かったみたいでさ」

 いや、今でもいいですよ、と思っていた。

「それで、昔の付き合いで、勝手に僕の結婚相手って決まってたんだよ、子供の頃から。

 顔はそこそこだけど、性格が如何にも女って感じで陰険なところがあって」

 女って感じで陰険って、偏見だ……と思ったのだが、黙っていた。

 余計なことを言うと、話すのをやめてしまいそうだったからだ。

「あんまり好きじゃなかったんだけど、なんかずっと僕につきまとっててさ」

 そりゃ、これだけの人だからね、と朝日を間近に眺めながら思う。