うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

『コンパやったときに、友達と来たのよ。
 あれっ、佐藤くんじゃんって、ちょっと盛り上がって、少しだけ付き合ったんだけど』

 顔もいいし、頭もいいけど、あの人おかしいよ、と言ってくる。

 ええ。
 それは今、実感してますよ、と朝日の声が聞こえないよう、少し彼から遠ざかりながら瑞希は思っていた。

『これ以上、僕の自由を阻害したら殺すって言われたんだよ。
 変だよ、あの人』

 ……変だよね? と思ったとき、朝日がこちらを振り向き、言った。

「相楽さんっ、誰と話してるの?」

『えっ? 今の誰っ?』

「か、会社の人っ。
 飲み会で移動中なのっ」
と言い訳したが、はっきり聞こえていたら、バレているかもしれないと思った。

 隠さずに、助けを求めるべきだったかもしれないが。

 なんでだろう。

 何故だか、朝日をかばってしまっていた。

「明日、また電話するから、ゆっくり聞かせてね」

 あ、うん、という未里はなにやら不安そうだった。

「ちょっと、相楽さん。

 こっち来て、電話に出て。
 僕がちゃんと紳士的に対処してるって香月に言ってよっ」

 いや、この半軟禁状態の何処が紳士的だ、と思ったが、仕方なく電話に出る。